目次
1.若手社員が会社に ” 求めるもの ” が変化している
Gez Xavier Mansfield on Unsplash
突然ですが、質問です。
あなたは会社選びをするときに、何を『重視』しますか?
・給料が高い
・福利厚生が充実している
・家から近い
・社員旅行がある
など、様々な会社選びの決め手となる『理由』があると多います。
最近は、SNSの普及により、企業の口コミサイトで求職者が自ら会社情報を調べられるようになったり、若者が『やりがい』よりも『安定』を求めるようになり会社選びの条件優先順位が変わってきたり。
一昔前までは『当たり前だった』『人気だった』ものが今の若者たちは『求めていない』『優先順位が低い』傾向が見られます。
では、
・働く価値観がどう変わっているのか?
・今の若者たちは会社選びで何を『重視』するのか?
・選ばれる会社になるために、企業は何ができるのか?
この3点についてお話ししようと思います。
2.” 会社に求めるもの “ 30年前と今では何が違う?
出典:「平成元年と平成30年の新卒社会人各1,000人を対象にした仕事観に関する調査」(アデコ株式会社)
まず、こちらのグラフをご覧ください。
これは、平成元年新卒組と平成30年新卒組各1,000人に対し、就活中の会社選びで何を『重視』していたのかを質問した結果です。
この調査を見て分かるように、平成元年新卒者が会社選びで最も重視視したものは『やりたい仕事ができる』。ところが、平成30年の新卒者が会社選びで最も重要視したものは『福利厚生の充実』でした。
平成元年新卒者は、「福利厚生の充実」も意識はしていましたが、それよりも仕事内容や給与への関心が高かったようです。一方、平成30年新卒者は、平成元年新卒者には重要視されていなかった『ワークライフバランス』を重要視する結果が出ています。
この事から分かるように、30年前の平成元年は『自分のしたい仕事、自分の力が発揮できそうな企業』を探していたのに対し、今の若者は『安定・働きやすさ・プライベートの両立』を求める傾向が見られます。
3.” 働き続けたいと思わない理由 “ から分かる企業が改善すべき事
出典:「職場環境に関する意識調査」(株式会社イー・クオレ)
これは、全国の男女20〜50代の会社員・公務員・契約社員・派遣社員のいずれかに当てはまる方を対象に調査した結果です。
なんと、勤続3年以下〜勤続10年以上の全ての人が、働き続けたいと思わない理由として『給与や福利厚生が良くない』が断トツで飛び抜ける結果となりました。
特に、7〜9年というのは、大学新卒で入社した場合、29〜31歳になります。
30歳という節目の年は、今後の人生やビジネスキャリアについて考える事が増え、悩む人が多いと言われています。
30歳になる前に「本当にこの会社でこれから先も働いていけるのか」「転職するなら20代のうちにしておきたい」などと考える人も多いので、このような結果になっているのではないでしょうか。
3ー1.給与や福利厚生はどの年代にも重要視されている
最近の若者は、先程の調査結果でもあったように、『ワークライフバランスの実現』を重視する人が増えたため、有給休暇や育休、産休、リフレッシュ休暇などの福利厚生が充実している会社を選ぶ傾向があります。
また、福利厚生が充実していると、「この会社は安定している」「この会社なら出産後も安働き続けられそう」などというイメージがある人が多いのも、福利厚生を重視している理由の一つかもしれません。
3ー2.勤続3年以下の従業員の悩みは「仕事内容のギャップ」
出典:「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」(パーソルキャリア・パーソル総合研究所)
パーソナルキャリアとパーソル総合研究所が実施した「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」では、何らかのリアリティ・ショックを抱える社会人は76.6%という結果が出ました。
理想と現実のギャップは、離職率を高めてしまう大きな原因になりかねません。入社前にどのような会社でどのようなスキルが必要なのか、自分はこの会社に合っているのかを知る事は、離職防止にも繋がります。
3ー3.勤続4年以上の従業員は「評価の不公平さ」に不満
出典:「人事評価制度に関するアンケート調査」(アデコ株式会社)
アデコ株式会社が実施した「人事評価制度に関するアンケート調査」では、会社の人事評価制度に62.3%が『不満』を持ち、『満足』はわずか4.4%にとどまりました。
不満を感じる理由として、
・評価基準が不明確
・評価者の価値観や経験によってばらつきが出て、不公平だと感じる
・評価結果のフィードバック、説明が不十分、または仕組みがない
・自己評価よりも低く評価され、その理由がわからない
・評価結果が昇進、昇格に結びつく制度ではない
などの理由が挙げられました。
人事評価制度は『数値化しにくい業務の評価がしにくい』という点が、評価のばらつきに繋がり、評価に対する不満に繋がるのかも知れません。
4.『働く価値観』の変化に合わせて企業ができる事
4ー1.福利厚生の充実
出典:「会社の福利厚生として良いと思うもの、実際にあった福利厚生でよかったと思うもの」についてのアンケートから一部抜粋(マンパワーグループ)
18〜60歳の男女972人を対象に「これまで勤務した会社において、実際にあった福利厚生でよかったと思うものは何ですか?」と聞いたところ、『食堂、昼食補助』が17.1%、『住宅手当・家賃補助』が16.7%、『余暇施設、宿泊施設・レジャー施設などの割引制度』が14.5%という結果になりました。
住宅関連、ライフサポート、医療・健康関連など、様々な福利厚生がありますが、この調査結果を見ると、金銭面がサポートされる福利厚生が上位にランクインしているのが分かります。
4ー2.採用ターゲットの明確化
Sebastian Hermann on Unsplash
採用ターゲットを明確化する事は、企業にとっても求職者にとっても、メリットがたくさんあります。
◾️ 企業のメリット
・自社の理念や経営ビジョンに共感性がある人が集まる。
・従業員の入社前後の業務や給与に関するリアリティ・ショックが軽減される。
◾️ 求職者のメリット
・入社後の業務内容や目標がイメージしやすい
・会社が求める人材像が分かりやすいため、会社に自分が適しているのか入社前から判断できる
人材不足だからと言って、とにかく多くの人に応募されるよう募集要項を曖昧にしている企業が多くあります。しかし、それは逆効果で多くの人に会い、面接をする事はできますが、自社にあった人材を見つけ出すのはなかなか難しくなります。
どんな会社で、どんな人材を求めているのかを明確化する事で、採用の質を向上し、採用難でも良い人材を確保しましょう。
4ー3.人事評価制度の導入・見直し
Maranda Vandergriff on Unsplash
『人事評価制度』とは、評価・育成を行う事で従業員の生産性向上やモチベーション向上を図るための制度です。
似たような制度で『人事考課制度』というものがありますが、取締役や役員、人事部が従業員を評価しているものです。また、評価結果を公にしている『人事評価制度』とは異なり、『人事考課制度』は評価内容を非公開にしています。
主な評価制度としては、以下になります。
◾️ 年功評価制度
入社した年齢を基本として、評価をする制度
◾️ 能力評価
従業員個人の能力に基づいて評価をする制度
◾️ 職務評価
職務別によって評価をする制度
◾️ 役割評価
仕事内容や難易度によって評価をする制度
従業員を人事評価制度で評価することによって、目標や業務の見える化ができ、従業員のモチベーションにも繋がります。
また、従業員と定期的に面談を行う事で、会社に何を求め、何に対して不満を持っているのかをヒアリングでき、従業員の離職防止にもなります。
5.まとめ
Ben White on Unsplash
たった30年という月日なのに若者の働く価値観にズレが起こり、会社選びの基準が変化しています。
新卒者や若い人材を採用したいと考えている企業こそ、いま若者は会社に対して、仕事に対して、何を求めているのかを知り、社内制度や福利厚生を見直す必要があるのではないでしょうか。